「何でこんな名前を・・」というような、かわいそうな名前が付けられてしまった植物がいくつかあります。そのなかでもオオイヌノフグリは別格でしょう。「いぬのキ○タマ」とズバリ言う地方もあるとのことですが、もともとは在来のイヌフグリの小さな果実がそれに似ているから、こんな名前を付けられたといいます。一方、オオイヌノフグリは明治時代になって入ってきたヨーロッパ原産の帰化植物で、果実はナニとそれほど似ていないようです(とくに見比べたわけではありませんが・・)。果実はともかく、薄い青色をした花はご存じのようにとても可憐で、小川や田圃の傍に一面に咲いているのをみると、待ちかねていた春の到来を誰しもが感じます。私もこの雑草の花に何となく引かれるものがあり、庭を造り始めた頃、わざわざ川の傍の田圃まで行って採集し、園路に沿って植え付けたものです。まだ生き残っていますが、環境が変わったためかだんだん消えつつあるようです。その後、ホームセンターの園芸コーナーでオックスフォードブルーというよく似た花を見つけ、バラの下草に植たところぐんぐん広がって、今の季節はまぶしい程の青色の絨毯をつくっています。花はオオイヌノフグリとそっくりですが、やや大きくてずっと濃い青色をしています。オックスフォード大学のスクールカラー(濃青)に因んでこの品種名が付けられたようですが、分類上はオオイヌノフグリと同じベロニカ(Veronica)属(クワガタソウ属ともいう)でごく近い種類です。ご存じの方もいると思いますが、ベロニカは、十字架を背負ってゴルゴダの丘に護送されるキリストの顔の汗をハンカチで拭いてあげた女性の名前です。このハンカチには後にキリストの顔が浮かび上がった、と言う伝説があります。これを知って花姿をまじまじと見ると、どちらの花もキリストの顔に見えなくもありません。こんな神聖な花に「いぬのキ○タマ」などとかわいそうな名前を付けてしまう日本人は、自然を素直に見る目がある、いうのか、信仰心が足りないがおおらかさがある、というのか・・・。まあ、文化が違うのでしょうね。
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【花便り220601】
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